
ニュースの概要
2月20日、米連邦最高裁がトランプ大統領の相互関税を「違法」と判断した。国際緊急経済権限法(IEEPA)には大統領に関税を課す権限が含まれておらず、権限の逸脱にあたるというのがその理由だ。
ところがトランプ氏は同日中に代替措置に署名。今度は通商法122条という別の法律を根拠に、全世界に対して10%の新関税を発動すると発表した。発動は米東部時間24日午前0時1分、日本時間では24日の午後2時1分。通商法122条による関税発動は史上初とされる。
さらに翌21日、トランプ氏は自身のSNSで「15%に引き上げる」と表明。通商法122条が認める上限いっぱいの税率だ。ただし、15%への引き上げが具体的にいつ適用されるかは現時点ではっきりしていない。署名された大統領令は10%のままで、15%はSNS上の表明にとどまっている。
この関税は最長150日間の時限措置で、延長には議会の承認が必要になる。食料品や重要鉱物、すでに分野別関税がかかっている自動車などは対象外とされている。
僕はこう思う
正直、「またか」という感想しか出てこない。
前回の記事で「三権分立が機能した」と書いたけど、その感動が持ったのは半日もなかった。違法判決が出た当日中に別のルートで関税を復活させて、翌日にはSNSで「やっぱり15%」と言い出す。この切り替えの速さにはもう呆れるしかない。
ここで冷静に考えたいのは、日本にとってこれが何を意味するかということだ。
日本への相互関税は元々15%だった。それが違法判決で一旦消滅して、今度は通商法122条で15%がかかる。税率は実質的に変わらない。名前が変わっただけだ。つまり、違法判決が出ようが出まいが、日本企業が払う関税は何も変わっていない。あの判決の恩恵は、少なくとも日本にとってはゼロだ。
これに対して日本側の反応も出てきている。22日のテレビ番組で、自民党の小野寺五典税調会長は「むちゃくちゃだ」とコメント。さらに「違法とされた関税で徴収した分の返還は当然だ」とも言っている。違法判決で無効になった相互関税では推定1750億ドル(約26兆円)にもなる規模がすでに徴収されていて、これを返すのか返さないのかは日本企業にとって切実な問題だ。でもトランプ氏は「返還は議論していない」「5年は法廷闘争だ」と言い放っている。
小野寺氏の「当然だ」という発言はまっとうだと思う。違法と認定された関税で取った金を返さないのは、どう考えてもおかしい。ここは日本政府としてしっかり主張してほしいところだ。
それと、今回一番注目すべきは「150日」という期限だと思う。
通商法122条による関税は最長150日で、延長するには議会の承認がいる。アメリカでは11月に中間選挙がある。関税で物価が上がれば有権者の反発は必至で、米シンクタンクの専門家も「議会が延長を認める可能性は低い」と見ている。つまり、7月下旬にはこの関税が自動的に失効するかもしれない。
ただし、トランプ氏は150日の間に「法的に許容される新たな関税を決定する」とも宣言している。301条による制裁調査も始めるという。301条というのは「相手国の貿易が不公正だ」と認定すれば関税をかけられる法律で、第1期トランプ政権が中国に25%関税をかけた時の根拠もこれだった。要するに、時限措置が切れる前に、次の関税の根拠を作ろうとしているわけだ。終わったと思ったら次が来る。こういうイタチごっこが続く限り、対米ビジネスを抱える企業は振り回され続ける。
今週の株式市場は、この新関税を受けて円高・ドル安が警戒されている。高市首相の訪米が3月に予定されているし、5500億ドルの対米投資という約束もある。前回も書いたけど、前提が変わったなら交渉の中身も変わって然るべきだ。言われるがままではなく、日本の国益をちゃんと主張しながら付き合ってほしい。
まとめ
まぁ、結局こうなるよなという感想しかない。ただ、150日の時限という点と、約26兆円の返還問題は今後の焦点になる。どこかで誰かがちゃんと声を上げないと、このイタチごっこは終わらない。
【参考】

