
ニュースの概要
2月26日、厚生労働省が2025年の人口動態統計の速報値を公表した。
出生数は70万5,809人で、前年から約1万5,000人減り、10年連続で過去最少を更新した。なお、速報値には国内の外国人や国外の日本人、前年以前に届け出られた分も含まれるため、確定値(日本における日本人の出生数)とは差が出る。2024年の確定値は68万6,173人。2025年の確定値は未公表だが、速報値の水準と過去の傾向からみて70万人を下回る可能性が高い。
社人研(国立社会保障・人口問題研究所)の将来推計(令和5年・中位推計)では、出生数(総数)が70万人を下回るのは2043年とされていた。速報値ベースでもすでにその水準に迫っており、推計を大幅に上回るペースで少子化が進行している。
一方、死亡数は160万5,654人で前年から減少に転じたものの、出生数の落ち込みがそれを上回り、出生数から死亡数を引いた自然増減は速報値ベースでマイナス89万9,845人と、前年をさらに上回る減少幅となった。
政府は「こども未来戦略」の加速化プランとして3.6兆円規模の少子化対策を打ち出し、2026年度までを「集中取組期間」としている。
僕はこう思う
正直、驚きはない。「やっぱりな」としか思えなかった。
僕は29歳で、まさに「子どもを産む世代」のど真ん中にいる。でも、周りを見ても、結婚している友達の方が少ない。将来のことなんて、正直考える余裕がない。
理由はシンプルで、お金だ。
自分一人が生きていくのでさえ、余裕があるわけじゃない。不安障害で短時間勤務をしている身からすると、「子どもを育てる」というのは、もう別の世界の話に聞こえる。
もちろん僕が特殊なケースだというのは分かっている。でも、20代・30代の実質賃金はなかなか上がらず、社会保険料の負担は年々重くなっている。物価は上がる。給料はなかなか追いつかない。家賃も高い。そんな中で「子どもを持ちたい」と思える方が、むしろすごいと思う。
政府は3.6兆円規模の少子化対策をやっている。児童手当の所得制限を撤廃したり、第3子以降は月3万円にしたり。やっていること自体は分かる。ただ、制度が拡充されてから、夫婦が「じゃあ子どもを持とう」と決めて、妊娠して、出産に至るまでには当然時間がかかる。2025年の出生数は、主に2024年中の妊娠が反映されたものだ。制度が拡充されてまだ間もない以上、政策効果がフルで表れるとは考えにくい。
とはいえ、それ以前からもずっと少子化対策には予算が投じられてきた。それでも出生数は10年連続で過去最少を更新し続けている。この規模のお金を使って、どこで歯止めがかかるのか。正直、見通しが立っていないように見える。
しかもその財源の一部は、2026年度から医療保険料に上乗せして徴収される「支援金制度」で賄われる。年収600万円の会社員で、2026年度は月575円程度、2028年度には月1,000円程度になるとの試算がある。「また取るのか」というのが正直な感想だ。
これ、給料から天引きされるだけじゃない。社会保険料は労使折半だから、会社側にも同じだけの負担がかかる。それは本来、僕らの賃上げに回せたはずのお金だ。政府は「歳出改革と賃上げによって実質的な負担増は生じない」と説明しているけど、その賃上げの原資を削っておいて「負担ゼロ」というのは、正直ちょっと無理があると思う。しかもフリーランスや自営業の人は、会社負担というクッションがない分、負担がより直接的にのしかかる。
そもそも、少子化の根っこにあるのは「若い世代にお金がない」ことだと思う。児童手当を増やすのは悪いことじゃないけど、子どもを産む前の段階で「産もう」と思えないなら、手当を増やしたところで届かない。
順番が逆というか、まずは現役世代の手取りを増やすことが先なんじゃないかなぁ。社会保険料の負担を減らすなり、支援金の上乗せを見直すなり、若い世代から「奪う」部分を減らさないまま「子どもを産んでくれ」と言われても、無理があると思う。
自然減が年間約90万人。政府自身が「2030年代に入るまでがラストチャンス」と言っている。2030年代に入ると、子どもを産む世代の女性人口そのものが急激に減る。母数がいなくなれば、どんな対策を打っても手遅れになる。でも、今のやり方で本当に間に合うのか。正直、かなり厳しいと思う。
まとめ
出生数70万人、自然減90万人。このまま現役世代の手取りが減り続けるなら、70万人という数字すら数年後には「あの頃はまだマシだった」と振り返ることになるかもしれない。
僕はただ、普通に生きていける国であってほしいだけだ。それすら難しくなっているのだとしたら、政治に求めるのは「支援」じゃなくて「奪うのをやめること」だと思う。
【参考】

