米・イスラエルがイラン攻撃。「遠い国の話」じゃない、僕らの生活に直結する理由

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ニュースの概要

2月28日、米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を開始した。トランプ大統領が主導し、米国防総省は作戦を「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」と命名した。イランの核開発を巡っては2月中に複数回の協議が行われたが合意には至らず、最終的に軍事行動に踏み切った形だ。

イラン側も即座に報復し、米軍拠点のあるバーレーン・UAE・カタール・クウェートなど湾岸諸国にミサイルを発射。UAE国営メディアはアブダビで民間人1人が死亡したと報じている。

3月1日にはイラン国営メディアが最高指導者ハメネイ師の死亡を正式に報じ、当局は7日間の国喪と40日間の服喪期間を発表した。Reuters、Bloomberg、Al Jazeeraなど主要国際メディアも死亡を報じている。

原油価格は攻撃前の時点で、日本が調達指標とするドバイ原油が1バレル70ドル前後(日経報道)と昨年夏以来の水準まで上昇していた。週明けの取引では市場がリスクプレミアムを織り込み、さらに上昇するとの見方が強い。

僕はこう思う

正直、中東のニュースって「遠い国の話」に聞こえがちだと思う。僕もそうだった。

ただ、今回ばかりはちょっと話が違う。日本の原油輸入の中東依存度は、2025年の年間実績で93.5%(JETRO)。2026年1月の速報値では**95.1%**まで上がっている(経済産業省)。その大半が、イランの目と鼻の先にあるホルムズ海峡を通って運ばれてくる。

すでに主要な石油メジャーやトレーダーがホルムズ海峡経由の輸送を見合わせていて、戦争リスクによる保険料高騰で物流が詰まり始めている。このまま海峡の航行が大きく制約される状態が続けば、日本への原油供給は壊滅的な打撃を受ける。

これは原油だけの話じゃない。LNG(液化天然ガス)の長期契約価格は原油に連動する仕組みが多いから、原油が上がればガス代も電気代も引きずられて上がる。ガソリンは当面政府の補助金で店頭価格が抑えられるにせよ、数週間で上昇圧力がかかる。電気・ガスは燃料費調整制度のタイムラグがあるので、家計への本格的な影響は数カ月後にやってくる。

ガソリンも電気もガスも物流コストも全部つながっている。そこから食品や日用品の値段にもジワジワ跳ね返ってくる。ただでさえ物価高でしんどいのに、これ以上は勘弁してほしいというのが本音だ。

どのくらいやばいんだろう。日本総研のレポート(2025年6月)によると、ホルムズ海峡の封鎖などで原油価格が140ドル程度まで急騰し、その状態が1年間続いた場合、日本の実質GDPが3%近く押し下げられる可能性があるという。リーマンショック(2009年、約マイナス5.7%)やコロナショック(2020年、約マイナス4%台)に次ぐ規模の衝撃だ。

もちろん、日本には国家備蓄・民間備蓄・産油国共同備蓄を合わせて約250日分以上の石油備蓄がある(経済産業省)。サウジやUAEにはホルムズ海峡を迂回する原油パイプラインもある。ただ、輸送能力は限られているし、UAE自身がイランのミサイル攻撃に晒されている現状では迂回インフラが標的になるリスクも高い。安全な代替ルートとしては計算しづらいのが正直なところだ。

しかもこの迂回ルートは原油専用で、LNGには使えない。LNGの国内在庫は数週間程度しかない。日本のLNG輸入はオーストラリアやマレーシアが主力だから中東依存度は原油ほど高くないが、ホルムズ海峡を通過するカタール・UAE産だけでも日本全体の1割強を占めている。ギリギリの需給で回しているから、この1割が途絶して代替調達が間に合わなければ、電力需給が一気に逼迫しかねない。

実際、中東周辺の物流にはすでに影響が出ている。JALは羽田〜ドーハ便を欠航にしたし、日本郵船・商船三井・川崎汽船がホルムズ海峡周辺の航行見合わせや待機指示を出している。丸紅はイランの駐在員をすでに国外に退避させていたという。

そして気になるのは、日本政府の対応だ。第一報が入った当日、高市首相は石川県知事選の応援で東京を離れていた。滞在先から秘書官を通じて関係省庁に指示を出し、その旨をSNSで発信したが、野党からは初動の危機管理体制を問う声が噴出。その後急遽帰京してNSC(国家安全保障会議)を開催し、経済への影響の洗い出しを指示したと報じられている。

正直なところ「万全の対応を」というコメントだけでは安心できない。去年6月にイスラエルがイランの核施設を攻撃した時も、当時の石破政権が打ち出したのはガソリン補助金の拡充だった。補助金で一時的に値段を抑えること自体は助かるけど、根本的には何も変わっていない。政権が替わっても「補助金の拡充」の繰り返しでは困る。

普通に考えて、原油の9割以上を一つの地域に頼っている構造そのものが問題だ。中東で何かあるたびに「ガソリン代どうなる」「電気代どうなる」とビクビクしなきゃいけない。こういう時にこそ、調達先を分散させる話をもっと真剣にやるべきだと思う。補助金のその場しのぎじゃなくて。

もうひとつ。高市首相が衆院選の公約に掲げた**「食料品の消費税2年間ゼロ」**は、今まさに国民会議で検討が進められているところだ。首相自身が「悲願」とまで言った目玉政策だが、このタイミングで原油高騰による物価上昇が重なるのは最悪の展開だ。

仮に食料品の税金がゼロになっても、原油高で輸送コストや原材料価格が上がって食品そのものの値段が跳ね上がれば、減税の恩恵は相殺されかねない。危機管理で出張の判断を問われ、目玉政策すら原油高で霞んでしまう可能性がある、、、正直不安しかない。

まとめ

中東の戦争は「向こうの話」じゃない。ガソリン代、電気代、ガス代、食品の値段、全部つながっている。

補助金頼みの政治にも、正直あまり期待できない。だからこそ、僕らも「何が起きているか」を知った上で、最悪の物価上昇に備えて家計を見直しておくくらいの意識は持っておきたい。

【参考】

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