「給付付き税額控除」って何?庶民目線でできるだけ簡単に解説してみる


目次

そもそも「給付付き税額控除」とは

最近ニュースで「給付付き税額控除」という言葉をよく聞くようになった。高市首相が導入に意欲を見せていて、消費税減税とセットで議論する超党派の「社会保障国民会議」が今日2月26日に初会合を迎える。

ただ、この国民会議の参加メンバーを巡って早くも揉めている。政府・与党は「給付付き税額控除の導入に前向きな政党」を条件に声をかけているが、中道改革連合と国民民主党は態度を留保。積極的なのはチームみらいくらいで、参政党は「賛成する政党だけ入れるなら国民会議と言えるのか」と批判している。超党派の枠組みが実現するかは、まだ不透明だ。

それはさておき、そもそもこの「給付付き税額控除」が何なのか。名前だけ聞いても正直よく分からない。「給付」「税額」「控除」。漢字が6つ並んでいるだけで、もう頭に入ってこない。

なので、僕なりにできるだけ簡単に整理してみる。

ざっくり言うとこういう仕組み

給付付き税額控除は、所得税の減税と現金給付を組み合わせた制度だ。

普通の減税は、税金を払っている人にしか効かない。たとえば「10万円の減税」と言われても、もともと所得税を3万円しか払っていない人は3万円分しか恩恵がない。残りの7万円分は消えてしまう。

給付付き税額控除では、この引ききれなかった分を現金で給付する。3万円の減税をした上で、残りの7万円は口座に振り込まれる。非課税の人なら10万円まるごと現金給付だ。

つまり、収入が少ない人ほど現金給付の割合が大きくなる。「本当に支援が必要な人に届きやすい仕組み」というのが、この制度の売りだ。

2024年の定額減税を思い出すと分かりやすい

2024年に「1人4万円の定額減税」があったのを覚えている人も多いと思う(手取りが増えた実感が薄かった人も多いかもしれないけど)。あの時も、減税だけでは非課税世帯に届かないから、別途給付金を出すという対応がされた。

給付付き税額控除は、あれを最初から一つの制度にまとめたものと考えると分かりやすい。毎回「減税+別の給付金」をバラバラに設計する手間をなくして、一つの仕組みで所得に応じた支援ができるようにする。

海外ではもうやっている

この仕組みは日本オリジナルではない。アメリカでは「勤労所得税額控除(EITC)」、イギリスでは「ユニバーサル・クレジット」として、すでに運用されている。カナダやオランダ、韓国でも導入済みだ。

特にアメリカのEITCは、働いている低所得者を対象にした制度で、就労意欲を下げずに支援ができると評価されている。

僕はこう思う:考え方はいい。ただ課題が多すぎる

「一番届けたい人に届く」のは素直にいい

従来の減税だと、収入が多い人ほど恩恵が大きくなる。年収800万円の人と年収200万円の人が同じ「減税」を受けても、実際に楽になる度合いは全然違う。

給付付き税額控除なら、収入が少ない人ほど現金給付が手厚くなるわけだから、理屈としてはフェアだと思う。物価高で一番きついのは低所得・中所得の人だから、そこに厚く支援が行くのは方向として正しい。

でも「いつ届くの?」問題がでかい

一番の問題は、この制度がいつ実現するのか全く見えないことだ。

国民会議は今日ようやく初会合だが、前述の通り野党の足並みが揃っていない。夏前に中間取りまとめを目指すとしているけど、参加メンバーすら固まっていない段階で、本当に間に合うのか。

制度を作るには、まず国民の所得を正確に把握する仕組みが必要になる。給与所得はまだいいけど、自営業の人や不動産所得がある人の収入をどこまで正確に捕捉できるのか。マイナンバーと銀行口座の紐づけをどうするのか。不正受給をどう防ぐのか。

こういった制度設計に時間がかかるから、高市首相は消費税ゼロを「つなぎ措置」として先にやろうとしている。つまり給付付き税額控除の本格導入は、早くても2027年以降。下手したらもっと先だ。

正直、そこまで待てるかという話だと思う。

財源はどうするの?

仮に1人あたり4万円の給付付き税額控除を導入した場合、全体で年間約5兆円の財源が必要になるとされている。

この5兆円をどこから持ってくるのか。今のところ明確な答えは出ていない。法人税の見直し、金融所得課税の強化、富裕層への課税強化などが候補として挙がっているけど、どれも簡単には進まない話だ。

結局、制度の器はいいのに中身の財源が決まらないまま「検討します」が続く。そういう展開は過去に何度も見てきた。

消費税ゼロとの関係がややこしい

もう一つ分かりにくいのが、消費税ゼロと給付付き税額控除の関係だ。

高市政権の方針はこうだ。

  1. まず食料品の消費税ゼロ(2年間限定)をつなぎ措置としてやる
  2. その間に給付付き税額控除の制度設計を進める
  3. 制度が整ったら消費税を元に戻して、給付付き税額控除に移行する

※消費税ゼロの対象はお酒や外食を除く、いわゆる軽減税率の対象品目。

理屈は分かるけど、「消費税を元に戻す」のところで絶対揉めるだろう。一度ゼロにしたものを8%に戻すのは、政治的にかなり難しい。しかも2028年の夏には参院選がある。「増税」と受け取られかねないことを選挙前にやれるのか。

つなぎのはずが恒久化して、その上に給付付き税額控除も乗っかって、財政がさらに苦しくなる。そういう未来が正直見えなくもない。

まとめ:「知っておく価値はある」仕組みだと思う

給付付き税額控除は、考え方としては間違っていないと思う。収入が少ない人にも確実に支援が届く仕組みは、今の日本に必要だ。

ただ、導入までのハードルが高すぎる。所得の把握、制度設計、財源の確保。どれも時間がかかる話ばかりだ。

結局、庶民としては「で、今月の生活はどうなるの?」が一番大事で、何年も先の制度の話をされても実感がわかない。僕もそうだ。

それでも、これから何度もニュースで出てくる言葉だから、「あぁ、あの減税と給付をくっつけたやつね」くらいには覚えておいて損はないと思う。

僕は引き続き、消費税を早く下げてくれ派だけど。

【参考】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次