旧統一教会、東京高裁も解散命令を維持。財産整理は始まったけど、「終わった話」にしてはいけない理由

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ニュースの概要

3月4日、東京高裁が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散命令を維持し、教団側の訴えを退けた。

2025年3月の東京地裁に続き、高裁も同じ判断を下した形で、決定はその日のうちに効力が生じた。裁判所が選んだ担当者のもとで、教団の財産を整理する手続きがすでに始まっている。

教団側はすぐに「最高裁まで争う」と表明した。ただ、最高裁への申し立て(特別抗告)には、手続きを一時ストップさせる「執行停止」の効力がない。そのため、少なくとも現時点では、裁判と財産整理が並行して進む状況だ。

解散命令に伴い代表役員を退いた堀正一・元会長は翌5日、「法人格を否定されても、宗教活動は続けていく」との声明を発表した。

被害の規模については、文部科学省が約204億円と主張し、2025年3月の東京地裁も少なくとも1,500人超・約204億円の被害を認定した。今回の東京高裁は、より厳格に「確実に証拠で裏付けられる分」だけに絞り込んだため、少なくとも506人・74億円余りの認定になっている。数字が小さく見えるが、高裁が被害を軽く見たわけではなく、証明できる分だけを確実に認定した結果だ。

長期間にわたって多くの人が被害を受けたという骨格は、両裁判所で共通している。

教団の総資産は約1,040億円、うち現金・預金は約668億円と報じられており、手続きは年単位になるとの見通しも示されている。

裁判所が選んだ財産整理の担当者(清算人)である伊藤尚(ひさし)弁護士は4日夜の記者会見で、被害を申し出るための専用ホームページを開設したと発表した。被害の申し出受け付けは5月の大型連休明けごろを見込んでいるとのことで、被害に遭った方にとってはこれからが本番だ。

また、文化庁は3月5日、被害者救済特例法上の「指定宗教法人」指定が3月4日で効力を失ったと公示した。これは教団が法人格を失い、行政による監視から裁判所の管理に切り替わったことで、その制度が役割を終えたためだ。さらに3月6日には、今回の司法判断を踏まえ、違法な献金勧誘などが解散命令の理由になり得ることを、全国の都道府県や所轄の宗教法人に周知している。


僕はこう思う

第一印象は「やっとか」だった。

安倍元首相の銃撃事件をきっかけに問題が広く知られるようになってから、約3年8カ月。東京地裁の解散命令からも約11カ月が過ぎた。

ずっと「遅いな」と思っていたので、「ようやく」という感覚が先に出てきた。

解散命令の維持そのものは、当然の結果だと思う。

約40年にわたって違法な献金勧誘による深刻な被害が続いてきたことが、2つの裁判所で認定されているわけだから。「信教の自由」は絶対に守られるべきだけど、それを隠れ蓑にして不法行為を続けてきた以上、擁護の余地はない。

高裁は、教団側が実効性のある再発防止策を自発的に取ることは期待しがたく、不法行為を防ぐ手段は解散命令以外に見当たらないと判断した。僕もその通りだと思う。

ただ、ここで終わりじゃないというのが、僕が一番引っかかっていることだ。

教団の現金・預金だけで約668億円と報じられている。ただ、高裁が認定した74億円余りはあくまで「確実に証明できた分」に過ぎない。まだ声を上げていない潜在的な被害者も多いとされており、手続きにかかるコストもある。現金が多いからといって、全員に補償が届くとはまだ言い切れない。

いちばん怖いのは、声を上げられなかった被害者が置いていかれることだ。

被害の申し出を受け付ける期間は1年程度を予定しているが、それまでに届け出られなければ、手続きの中で把握されないまま終わるおそれがある。

しかも宗教法人法50条では、財産整理のあとに残ったお金の行き先は、原則としてその法人の規則に従って決まる(規則がない場合は他の宗教団体や公益事業、最終的には国庫帰属)。報道では、旧統一教会は2009年に、その帰属先を教団と関係が深いとされる北海道帯広市の宗教法人「天地正教」と決めていたとされる。

つまり、被害者への弁済が一通り終わった後、残ったお金が規則で定められた別の法人に移る可能性が、今の制度にはある。

日弁連も3月4日付の会長談話で、そうならないよう例外規定を設ける法整備が不可欠だと国に求めている。

さらにTBSなどは、教団が早期退職を募り、正職員(約1,200人)のうち約340人が応じ(定年退職等と合わせ計約440人が退職予定)、数十億円規模の退職金を支払う見通しだと報じている。教団関係者は「財産を逃がす目的ではない」と否定しているが、このタイミングで数十億円も出したら、どう見ても「没収される前に分け合おう」という駆け込みに見える。資産の動きは今後も注視していく必要がある。

政治との関係についても、まだ終わっていないと思っている。

堀元会長が「宗教活動は続ける」と表明している以上、教団と政治との関係が自動的に消えるとは言い切れない。

まず確実に確認できるのは、高市首相が3日の国会で、教団系メディアの「世界日報」の取材に1994年から2001年にかけて5回応じていたと認めたことだ。本人は「教団と関係があるとは知らなかった」と説明しているが、この説明に対しては国会質疑や報道で疑問も示されている。

そのうえで、週刊文春やTansaは全3,212ページに及ぶとされる内部文書「TM特別報告書」をもとに、政治家と教団のより深い関係を報じている。ただ、この文書は教団側が信用性を争っており、現段階では断定はできない。

解散命令の効力が生じたことで「一件落着」みたいな空気になりそうだけど、、、本当の問題はここからだと思う。


まとめ

高裁が解散命令を維持したのは、大きな一歩だ。それは素直に認める。

ただ、被害者全員に補償が届くかどうか、法律の抜け穴でお金が逃げないかどうか、政治との関係が本当に断ち切られるかどうか。

まだ見届けるべきことが山積している。「終わった話」にするのは早い。


【参考】

毎日新聞「旧統一教会、25年3月の現預金『668億円』被害者救済の原資に」

文化庁「宗教法人世界平和統一家庭連合への解散命令及び清算手続について」

日本弁護士連合会「旧統一教会に対する解散命令確定に当たっての会長談話」

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